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東京地方裁判所 昭和45年(借チ)1066号 決定

〔主文〕1 申立人が、本裁判確定後三か月以内に、相手方に対し、金四三九、〇〇〇円を支払うことを条件に別紙目録記載の改築を許可する。

2 前記金員が支払われた場合、本件賃貸借の賃料を、右金員支払の翌月から、一か月金五、七六〇円(3.3平方米当り金六〇円)と定める。

〔理由〕一 本件申立の要旨

1 申立人は、昭和五年一一月五日から別紙目録記載の土地(以下「本件土地」という。)を、普通建物所有の目的で賃借し、ここに別紙目録(二)記載の各建物(以下順次「本件(一)(二)(三)の建物」という。)を所有している。

2 申立人は、本件(一)(三)の建物につき増改築許可の裁判をえたが、このうち、本件(一)の建物については、その敷地約115.70平方米を0.7米掘り下げたうえ別紙目録(三)記載のとおり改築すべく計画中であるが相手方との間に協議がととのわないので、右承諾に代わる許可の裁判を求める。

二 当裁判所の判断

1 本件で取調べた資料によれば、前記一の1の事実のほか、本件土地賃貸借は、昭和三五年一一月五日法定更新されたことを認めることができ、したがつて申立人は本件土地の適法な賃借人である。

そこで、本件改築計画について検討する。

前記資料によれば、改築計画中二階建の建築は、土地の利用上、法令の制限上相当であり、更に、本件土地は、接面する公道および両側隣接地より約0.7米高くなつており、特に公道に接した土地部分の利用が妨げられており、これを公道面まで掘り下げることは、本件土地を公道および隣接土地との適合させ、土地を効率的に利用するため必要かつ有益であり、これにより賃貸人に損失をもたらすことはないが、相手方がこれを承諾しないのであるから、本件改築許可に伴い賃貸人の承諾に代わり許可の裁判をするのが相当である。他に本件改築計画を不当とする事由はないので、本件申立はこれを認容すべきである。

2 附随処分について検討する。

鑑定委員会は、本件改築に伴い申立人に金四四〇、一二五円の財産上の給付をさせ、地代を月額金五、七六〇円(3.3平方米当り金六〇円)に増額するのを相当としている。

前記資料によれば、現存建物中、本件(一)の建物を改築して平家建建物にし、本件(三)の建物に12.39平方米(3.75坪)の増築を許可する旨の裁判が確定し、これに伴い申立人に対し金七一二、八〇〇円の給付が命じられている(東京地方裁判所昭和四四年(借チ)第一〇四九号)が、申立人は、右許可決定中本件(一)の建物の平家建建物への改築にかえて本件改築を行なうとしているものでかつ、本件(三)建物の増築は小部分で給付額算定の基礎にはなりえないものであるから、本件における給付額は、現時点における本件改築に伴う給付金からすでに確定している給付金を差引いて決するのが相当である。しかして、本件改築に伴い調整すべき当事者の利害は、建物朽廃による借地権消滅の期待の減少にあるが、本件(一)の建物は、朽廃とはいえないが、著しく老朽化していることにかんがみ、右改築が、三棟中一棟にすぎないことを考慮しても、本件土地の更地価格(鑑定委員会の意見による3.3平方米当り金四〇万円)の三%にあたる金一、一五二、〇〇〇円からすでに支払義務の確定している金七一二、八〇〇円を控除した金四三九、〇〇〇円(千未満切捨て)を申立人に支払わせるのが相当である。

賃料は鑑定委員会の意見のとおり、本件改築に伴い、一か月金五、七六〇円(3.3平方未当り金六〇円)と定める。なお、本決定により、前決定により確定された申立人が金七一二、八〇〇円を支払い、賃料は右裁判確定の月の翌月(昭和四五年一〇月)から金四、五七〇円とする裁判の効力を変更するものでないことはいうまでもない。(筧康生)

目録

(一) 土地

東京都板橋区上赤塚町八七番

宅地 960.69平方米のうち、

317.35平方米(九六坪)

(二) 現存建物

1 家屋番号二六三番

木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建居宅一棟

52.89平方米(一六坪)

2 家屋番号二六四番

木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建居宅一棟

26.44平方米(八坪)

3 家屋番号一六五番

木造亜鉛メッキ鋼板葺平家建居宅一棟

26.44平方米(八坪)

(三) 改築計画

前記(二)の1の建物を取りこわし、その敷地約115.70平方米を、申立人の費用で約0.7米路面と同一高さに掘り下げたうえ、

木造瓦葺二階建店舗兼居宅 一棟

一、二階とも各89.356平方米(二七坪)を建築する。

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